リアル刀剣男子(オヤジ?)が語る日本刀:第四部「天下五剣と童子切安綱」

現代に生きる侍、山家さんによる日本刀談義、いよいよ最終話になります。。。
こんな本格的で日本的な話をいただけるとは、、、こういう出会いがあったこと、感謝です!!

ではどうぞ!

いよいよ刀剣オヤジの語りも最終回。今回はある伝説の名刀について語ります!!

山家衛艮

「刀剣乱舞」のファンであれば、日本史上ベストファイブと位置付けられる刀剣、いわゆる“天下五剣”についてはご存知でしょう。一応列挙しておきます。(火ノ丸相撲でも聞いたことがあるかも!?)

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・三日月宗近(みかづきむねちか)

・童子切安綱(どうじぎりやすつな)

・鬼丸國綱(おにまるくにつな)

・数珠丸恒次(じゅずまるつねつぐ)

・大典田光世(おおでんたみつよ)

残念ながらというか、恥ずかしながらというか、僕がこの中で実際に見たことがあるのは“童子切安綱”だけです。
しかしその時の衝撃は、今でもはっきり憶えているくらいにハンパ無いものでした。

展示会等で“旅”に出されていなければ、この太刀は東京国立博物館で見ることが出来ます。

国立博物館のガラスケース越しに、初めてこの童子切を前にして、ぼくは30分その場を動くことが出来ませんでした。その途轍もないオーラと、想像と実物のあまりの違いに圧倒されてしまったのです。

名刀中の名刀ですから、写真で見たことは何度もありました。かなり大写ししたものも見ています。しかし、実際に見るのと写真で見るのとでは、日本刀の場合全く違う事も経験上知っていました。
いずれにせよ、日本史上のトップファイブの刀剣ですから、途轍もなく精密に、これ以上ないほど精緻に鍛えられた、一分の隙もない“スーパー優等生”的な太刀を想像していました。

ところが実物は全く違います。これほど“覇気”や“野趣”にあふれた刀は、それまで見たことがありません。要するに、ものすごくワイルドなのです。それでいて、まったく“粗野”ではなく、“気品”というよりは、むしろ侵しがたい“格調”の高さをビシビシと訴えかけてくる刀でした。

あまり上手い例えではありませんが、ワイルドであって下品ではない、という点を踏まえるなら、「七人の侍」「用心棒」「椿三十郎」に出演していた三船敏郎的なオーラを、もうちょっと格調高くした感じ、と言ったらいいでしょうか。

「三船敏郎」の画像検索結果
三船プロダクション

ところで僕のように居合道の経験があり、しかもしばしば竹や藁束を斬る経験をしている者が刀剣を鑑賞する場合、その外見上の美しさの他に、判断の軸がもう一本あります。すなわち、

“この刀は斬れるか”

という基準です。

偶然か故意にかは分かりませんが、童子切安綱は、太刀の側面だけでなく、切っ先(鋒)から中子(なかご:刀身のもとで、柄に入る部分)の方に向かって、縦方向にも鑑賞できるように展示されていました。手前と先が逆になりますが、この方向で確認できると、両手で構えた時の感じがイメージできます。
また、側面の外観と併せ、柄や鍔などの刀装具を付けた上でその刀剣を振った時の感触が、実際に刀で物を斬る経験を積んだ者なら、場合によってはかなり正確にイメージ出来ることがあります。そしてこの童子切安綱は、そうしたイメージを見る者に容赦なく叩き込んでくる太刀でした。

“……こいつは、斬れるな……”

平安期、源頼光がこの太刀で酒呑童子を退治したことはよく知られています。“童子切”という号(ごう:ニックネーム)もそこから来ています。

また江戸期には、町田長太夫という試し切りの達人が、この太刀で重ねた罪人の死体6体を斬り抜き、刃が土台まで食い込んだという逸話も残されています。

酒呑童子はともかく、罪人6体はさすがにオーバーだろう、と思っていたのですが、童子切の実物を見て、“これならあり得るかも知れない”とリアルに思ったものです。もちろん僕の技量ではお話になりませんが、江戸期のプロフェッショナルなら、あながち荒唐無稽な話とばかりは言えないかも知れません。

この童子切についてもう一つ衝撃を受けたのは、こちらに所有欲を全く起こさせないものだった事です。

例えば、アルファ・ロメオとかポルシェとかの高級外車を見れば、僕の経済力でそれを手に入れるのはおよそ不可能なのは承知していますので、欲しくて堪らない、ということにはなりません。でももし宝くじが当たれば、という想像くらいはします。

また、今を時めく女優さんをTVなどで拝見すれば、もちろん僕なんぞ相手にしてくれるはずもありませんが、万が一チャンスがあれば、という妄想は頭のどこかでしています。

つまり、“すごい・素晴らしい”はどこかで“欲しい”とつながるのですが、この童子切ばかりは“欲しい”とつながりませんでした。

“こんなものは、とてもじゃないが俺では持てない”

“畏れ多い”とか“身の程を弁える”とか、そういう頭で考える文脈ではありません。もし腰に携えれば、完全にこの太刀に呑みこまれてしまう、己が己であるという実感が掻き消えてしまう、という感覚的な恐怖が先に立つのです。それを肌で感じたとき、他の四振りはまだ見ていないながら、“天下五剣”、日本史上のトップファイブの刀が何をもってトップファイブなのか、という何事かが、おぼろげながら分かったような気がしました。

 “童子切安綱”……あらゆる意味で、アンタッチャブルな何かです。

◆終わりに

四部作にお付き合いいただき、有難うございます。

今回は、主に日本刀の概要から“切れ味”、“神秘性”に的を絞ってお伝えしました。しかし、日本刀の魅力や、“刀剣ビギナーが日本刀を手に入れるためのハウツー”など、語るべきことがらはまだまだたくさんあります。

因みに、「HOLISTIC STYLE BOOK(ホリスティック・スタイル・ブック)」というサイトで、僕が以前に日本刀について書いた記事がありますので、ご興味があればご覧ください。この記事と重なる部分もありますが、別の角度からのアプローチもしています。

以下がそのリンク先です。

いずれ機会があれば、またそうした入手法などのハウツー記事も書いてみようと思いますが、今回はこの辺で。

この記事が、御覧になった方に日本刀への新たな興味をご提供するものになっていれば幸いです。ご感想・ご指摘等、コメント大歓迎です!!

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